呼吸器外科サマースクール事務局代表
自治医科大学外科学講座 呼吸器外科学部門
遠藤俊輔
呼吸器外科は1900年代に結核外科治療を中心に始まった比較的新しい診療科です。今世紀に入り、肺癌が癌死亡の原因の一位となり、人口の高齢化に伴い続発性気胸・膿胸症例が増加し、また新たに石綿に伴う胸膜中皮腫が重大な社会問題となっており、これらの疾患を専門的に扱う呼吸器外科診療の需要が高まってきています。また、従来開胸手術でしか診断できなかった診断困難な肺縦隔疾患も、胸腔鏡や縦隔鏡を用いて呼吸器外科医により診断できるようになりました。呼吸器外科診療は、現代医療にとって欠くことのできない主要な診療となってきています。とはいえ、呼吸器外科は医学生や初期研修医にとっては、他のメジャーな診療科と比べ、いまだにマイナーな診療科といった感はぬぐえず、実習や研修に呼吸器外科が入っていない大学病院もあるのが実情です。
呼吸器外科サマースクールは、医学生や初期研修医の皆さんに呼吸器外科学の魅力を2日間にかけてインストラクターとともに模擬手術や動物手術を体感していただくプログラムです。先輩呼吸器外科医による講演や手術シミュレーターなどを用いた基礎的なDry-labプログラムと、動物の摘出臓器を用いたWet-lab プログラム、さらには実際の臨床と同様に麻酔管理下に生体動物の手術を体験するAnimal - labプログラムにより構成されています。各プログラムでは3~4人ごとのグループに分かれてインストラクターとともに縫合処置や開胸方法や肺切除術など実践的な手技を2日間にかけて学んでいくもので、受講生のレベルに応じたプログラムを用意しています。例年、第1日目の夜には、全国から参加した受講生と呼吸器外科専門医が一同に会して語らいの場を設けております。グループで参加される受講生もいますが、一人で参加し、全国の人と情報交換される受講生も多くいます。事前に手技や解剖などを予習しサマースクールを有効に受講できるように、受講生にはHP上から講習テキストやビデオ映像ダウンロードできるようにします。
外科に興味のある方は勿論、外科内科問わず呼吸器に興味がある方も、さらに、進路に迷っている方も、サマースクールに参加して、呼吸器外科の手術手技を体験してみてください。
2016年7月 神戸でお会いしましょう!
インストラクターの皆さんへ
呼吸器外科サマースクール事務局代表
自治医科大学外科学講座 呼吸器外科学部門
遠藤俊輔
この度は「呼吸器外科サマースクール2016」のインストラクターをご応募いただき誠にありがとうございます。このサマースクールは、医学生・研修医を対象に呼吸器外科の魅力を伝え、呼吸器外科を目指す若い医師を一人でも増やそうという目的で、今回で6回目の開催となります。
毎年インストラクターを公募とし、女性呼吸器外科医も含め志の高い先生に、全国から30名ほどの先生に参加していただいております。過去5回のご協力頂いた先生方の熱心な御指導のおかげで、受講生の人気は非常に高く、またその中から呼吸器外科医研修を開始した受講生も確実に増えてきているのが現状です。受講生・インストラクターともに全国からお集まりいただいているサマースクールでは、異なる施設の受講生のインストラクターをお願いすることもございますのでよろしくお願い申し上げます。
今回も前回と同様のプログラムを企画しておりますが、予習用としてプログラム、ブタの解剖の解説書、手技のビデオなどを事前にホームページ上にアップする予定にしておりますので、初めて参加されるインストラクターの先生方の参考になれば幸いです。受講生のレベルに応じた実習を多く組み入れたプログラムを用意しております。1日目終了後には懇親会を予定していますので、地域にこだわらず全国の受講生に、お声がけしていただければと思います。
先生方におかれましては、本サマースクールのために夏休みの貴重なお時間をいただき、心より感謝申し上げます。 事務局として至らぬところもあり、先生方にご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、鋭意努力いたしますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げます。
神戸でお会いできる日を楽しみにしております。