日本呼吸器外科学会 理事長 奥村 明之進
初期研修医と医学生の皆さん、こんにちは。日本呼吸器外科学会の理事長を拝命している奥村明之進です。よろしくお願いします。
日本胸部外科学会、日本呼吸器外科学会では毎年7月に医学部生と初期臨床研修医のための呼吸器外科サマースクールを開催しております。
呼吸器外科というのは、主に肺疾患の外科手術を担当する重要な診療分野ですが、学生時代も研修中も接する機会の少ない診療領域ではないでしょうか。しかし近年、肺癌が急速に増加しており、需要が拡大している領域です。さらに肺癌だけでなく、気管腫瘍・縦隔腫瘍・胸膜悪性中皮腫・胸壁腫瘍・転移性肺腫瘍などの多彩な悪性腫瘍や、良性肺腫瘍・肺感染症・横隔膜疾患・気胸・膿胸・重症筋無力症などの良性疾患の外科治療も担当しています。また肺移植も一般的治療として普及しつつあり、ますます人材が求められる領域です。
今回、初期研修医の先生方には、全身麻酔をかけられた生きたブタに対する肺切除手術を経験してもらいます。医学生には、ブタの心肺ブロックを使って、肺切除を経験してもらいます。限られた時間ではありますが、肺手術の技術をできるかぎり習得していただきながら、肺手術の魅力に触れていただければと思います。また、呼吸器外科医の先輩たちの日々の修練や日常生活に関する具体的な話も用意しています。全国から集まった受講生とインストラクターとの交流の場として、夜の懇親会も用意しています。
来年から新しい専門医制度が始まり、皆さんも将来の専門分野の決定に悩みが尽きないと思いますが、この機会を利用して目指すべき専門分野の決定に役立ててもらえればと期待しています。
それでは皆さんとサマースクールでお会いできることを楽しみにしています。
日本胸部外科学会 理事長 大北 裕
日本胸部外科学会と日本呼吸器外科学会は、将来を担う若手呼吸器外科医の育成が最重要課題と捉え、2011年より「呼吸器外科サマースクール」を毎年開催しています。呼吸器外科は肺・縦隔・胸膜の疾患に対する外科治療を担当する診療分野で、急速に増加する肺癌患者、慢性肺気腫数が増加している昨今、需要の大きい診療領域で、多くの人材が求められています。呼吸器外科が扱う疾患は多岐に亘り、肺癌だけでなく、他臓器からの転移性肺腫瘍・良性肺腫瘍・肺感染症・気管腫瘍・横隔膜疾患・胸壁腫瘍・胸膜悪性中皮腫・気胸・膿胸・縦隔腫瘍・重症筋無力症・呼吸不全などの多様な胸腔内疾患の治療も担当しています。
このサマースクールの目的は、難しい講義や理論を学ぶよりは、“呼吸器外科医療の魅力をまず膚で感ずる“をコンセプトに、二日間に亘ってブタ心肺を用いたウェットラボ(ベーシックコース[学生]:ブタ開胸・閉胸、肺葉切除術、皮膚縫合実習。アドバンスコース[研修医]:全麻下ブタ及び摘出心肺での肺葉切除術、気管支形成術)やドライボックスを用いた胸腔鏡手術実習など、多くの両学会理事・評議員が指導者となって共に楽しむことです。講義や研修では経験できないブタの肺切除の実習を通じて、肺手術の面白さを体験して頂ければ何よりです。
また、毎回、日本呼吸器外科のリーダーの先生たちや、全国からの受講生と、ビールを飲みながら談笑できる懇親会はとりわけ好評です。 呼吸器外科の知識、技術は不要です。服装もカジュアルでOKで、呼吸器外科の雰囲気に触れてみたいと思う人は既に有資格者です。
多くの学生、研修医の皆さんが夏の2日間を楽しんで頂けることを両学会は期待しています。